AWS EC2の選び方とコスト削減術|副業エンジニア向け
- 2026.10.11
- AWS
副業でWebサービスやアプリを運用していると、AWSの利用料金が気づかないうちに膨らんでいて驚くことがあります。特にEC2インスタンスは「とりあえず動くもの」を選んでしまいがちで、過剰なスペックに対して毎月の料金を払い続けているケースが少なくありません。本記事では、EC2インスタンスの選び方の基本から、月々の料金を大幅に削減できる具体的なテクニックまで、副業エンジニアやスモールビジネス運営者が今日から実践できる内容をまとめました。読み終える頃には、無駄なコストを見直す視点が身につき、浮いた予算を事業成長や新しい挑戦に回せるようになるはずです。

EC2インスタンス選びの基本:タイプとサイズを理解する
EC2インスタンスには数十種類のファミリーが存在し、それぞれ得意分野が異なります。代表的なのは、汎用用途のT3/T4gシリーズ、CPU性能重視のC6gシリーズ、メモリ重視のR6gシリーズです。個人開発や副業レベルのWebサービスであれば、多くの場合T3.microやT4gシリーズで十分に動作します。たとえばWordPressブログやシンプルなREST APIサーバーなら、月間アクセス数が数万PV程度までであればt4g.microやt4g.smallでも応答速度に問題が出ることはほとんどありません。
Gravitonプロセッサを検討する
特にARMベースのGravitonプロセッサを採用したT4g・C6g・R6gシリーズは、同等のIntel系インスタンスより最大20%ほど料金が安く、処理性能も遜色ないため、まず検討すべき選択肢です。Node.jsやPython、Go、Javaなど主要な言語・ランタイムはARM64に対応済みのため、Dockerイメージのベースを変更する程度の移行コストで乗り換えられる点も見逃せません。ただし一部の古いネイティブ依存ライブラリやx86専用のバイナリを使っている場合は、事前に動作検証が必要です。
サイズはCloudWatchの実測値で決める
インスタンスサイズを選ぶ際は、CPU使用率とメモリ使用率をCloudWatchで最低1週間モニタリングし、ピーク時でも70%程度の余裕を残せるサイズを選ぶのが目安です。最初から大きいサイズを契約すると、使われないリソースにそのまま料金を払い続けることになるため、小さめのサイズから始めて必要に応じてスケールアップする方が無駄を減らせます。CloudWatchの標準メトリクスではメモリ使用率が取得できないため、CloudWatchエージェントを導入してOSレベルの実測値も収集しておくと、より精度の高いサイジング判断ができます。
AWS Compute Optimizerでサイジングを自動化する
手動でCloudWatchのグラフを見比べる作業が面倒な場合は、AWS Compute Optimizerを有効化しておくと便利です。過去14日間以上の利用状況を自動分析し、「このインスタンスはオーバープロビジョニングされています。t4g.smallへの変更で月額を節約できます」といった具体的な推奨を無料で提示してくれます。副業で複数のインスタンスを並行運用している場合、どれから手をつければ良いか判断する時間を大きく節約できるため、EC2を使い始めたら早めに有効化しておくことをおすすめします。
料金プランの選択でコストを圧縮する
EC2の料金プランには大きく4種類あります。従量課金のオンデマンド、1年または3年契約で最大72%割引になるSavings Plans、特定のインスタンスタイプを予約するリザーブドインスタンス、そして未使用キャパシティを安く使えるスポットインスタンスです。副業で常時稼働させるサーバーがあるなら、1年契約のCompute Savings Plansに切り替えるだけでオンデマンド料金より30〜40%程度安くなることが多く、停止しても問題ない検証・開発用途にはスポットインスタンスを使うと最大90%安くなるケースもあります。前払いなしの「No Upfront」を選べば初期費用ゼロで割引を受けられるため、資金繰りに不安がある副業フェーズでも導入しやすいプランです。もう一つの重要なポイントは、使わない時間帯にインスタンスを停止することです。副業アプリのテスト環境やバッチ処理用サーバーなら、AWS Instance SchedulerやLambdaの定期実行を使い、夜間や週末だけ自動停止・自動起動する仕組みを組むと、稼働時間を半分以下に抑えられ、それだけで料金も大きく下がります。なお停止中もEBSボリュームの料金は発生し続けるため、停止すれば料金がゼロになるわけではない点は覚えておきましょう。
不要なリソースの見直しと監視の仕組み化
EC2本体の料金を見直しても、関連リソースが無駄にコストを発生させていることがよくあります。代表的なのが、インスタンスを削除した後も残り続けるEBSボリュームや、使っていないElastic IP、古いスナップショットです。これらは単体では数百円程度でも、放置期間が長くなるほど積み重なり、気づいた頃には月数千円規模の無駄になっていることも珍しくありません。月に一度は「AWS Cost Explorer」でサービス別の料金推移を確認し、EBSやスナップショットの項目が増え続けていないかチェックする習慣をつけましょう。さらに「AWS Budgets」で月額の予算上限を設定し、しきい値を超えたらメール通知が届くようにしておけば、副業の片手間でも料金の急増にすぐ気づけます。無料利用枠の対象サービスを使っている場合は、枠を超えた瞬間に課金が始まるため、Budgetsのアラートと合わせて「無料枠の使用状況」ダッシュボードも定期的に確認すると安心です。加えて、リソースに「Project」や「Environment」といったタグを付けておくと、Cost Explorerでタグ別に料金を絞り込めるようになり、複数の副業プロジェクトを並行運用している人ほど原因の特定がしやすくなります。
実践例:個人開発者のEC2料金を月6,000円から月1,800円に削減したケース

副業でSaaSの管理画面を開発しているAさんは、常時稼働のt3.mediumインスタンス1台を使い、月額料金が約6,000円かかっていました。利用状況をCloudWatchで確認すると、CPU使用率は常時10%未満、メモリ使用率も30%程度と、明らかに過剰なスペックでした。まずインスタンスをt4g.smallにダウンサイズし、1年契約のCompute Savings Plansへ切り替えたところ、料金は約3,200円まで下がりました。さらに開発環境用の別インスタンスについては、平日夜間と土日は使わないことに気づき、Lambdaで平日9時に起動・22時に停止する仕組みを導入しました。稼働時間を月間約720時間から約260時間まで減らした結果、合計の月額料金は約1,800円まで圧縮され、年間で見ると5万円以上の節約につながりました。Aさんはこの経験をきっかけに、月初にCost Explorerで前月の料金をチェックするルーティンを続けており、半年間コストが再び膨らむことなく安定しているそうです。
よくある質問
Q. 無料利用枠だけで副業のサーバー運用は続けられますか?
AWSの無料利用枠はt2.microまたはt3.microを月750時間まで無料で使える制度ですが、対象は新規アカウント登録から12ヶ月間のみです。期間が終わると通常料金に切り替わるため、無料枠終了後を見据えて、早めにSavings Plansへの切り替えやインスタンスサイズの見直しを検討しておくと、料金の急増に慌てずに済みます。
Q. EC2以外にコストを抑えやすい選択肢はありますか?
アクセスが少ないWebサイトや単純なAPIであれば、サーバーを常時起動するEC2ではなく、使った分だけ課金されるAWS Lambdaや月額固定のLightsailも有力な選択肢です。トラフィックの少ない副業プロジェクトなら、Lightsailに乗り換えるだけでEC2より管理も料金もシンプルになる場合があります。
まとめ
EC2のコストを抑える鍵は、インスタンスタイプとサイズを使用状況に合わせて適正化すること、Savings Plansやスポットインスタンスなど料金プランを賢く選ぶこと、そして不要なリソースを放置せず定期的に見直すことの3点に集約されます。どれも特別な専門知識は不要で、CloudWatchとCost Explorer、Budgetsを使いこなすだけで実践できます。まずは今使っているインスタンスの使用率を確認し、ワンランク下のサイズやSavings Plansへの切り替えを検討してみましょう。月々数千円の節約でも、積み重なれば立派な副収入です。
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